雪見草
卯月最後の日にご紹介するのは「ウツギ」。
日当たりの良い山野に生息し、茎の内部が空洞なために「空ろな木=空木」と呼ばれるようになったとされています。
別名「卯の花」とも呼ばれるウツギの花は、卯月の呼び名の由来とも言われており、これから5~6月頃にかけて枝の先端に1㎝程度の白い花をたくさん咲かせます。
ウツギは暑さや寒さに強く丈夫なため、庭の生垣や耕作地の境木として利用されてきたそうで、古くは万葉集に詠まれている他、源氏物語や枕草子にも生垣としてのウツギの記述があります。
さて、皆さんは、「山里の 卯花墻(うのはながき)の中つ路 雪踏みわけし 心地こそすれ」という短歌をご存じでしょうか。
美術品が好きな方であればピンとくるかもしれませんね。
日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているのは2椀しかないのですが、そのうちの一つの銘が「卯花墻」。
この茶碗を入れる箱に、前述の歌が書かれているそうなのですが、満開に咲く白い卯の花が、まるで雪のように見えたのでしょうね。
卯の花は「雪見草」とも呼ばれるそうです。
写真提供:国立科学博物館筑波実験植物園