2026年9月28日月曜日

固定種と在来種の変遷

 


 

 

 

 

 

 

 

 大切なことは種の来歴

 

 

 

 

 

 


 

 

石井吉彦|種と土と野菜の学校「石井ピュアファーム」代表


「固定種と在来種の変遷」②固定種と書いてあれば、どれでもよいのか

種袋に「固定種」と書いてあれば、これなら大丈夫。私も、以前はそう思っていました。

でも、種のことを知るほど、その一言だけでは分からないことが見えてきました。

■ F1から固定した種もある

F1は、異なる系統を掛け合わせた一代交配種です。揃いやすく、生育が早く、形もそろう。農業にはとても便利な種です。種を採ること自体はできますが、翌年蒔いても、親と同じようには揃いません。だから毎年買う。ここまでは、ご存じの方も多いと思います。

ところが、話はここで終わりません。そのF1をもとに選抜を繰り返し、性質を固定していった種もあります。固定種と書いてあっても、昔からその土地で受け継がれてきた種とは限らないのです。

以前、広島ジーンバンクに関わっていた船越さんから、こんな話を聞きました。遠い系統を掛け合わせると、思いがけない性質が現れることがある。それを選抜して、新しい系統として固定していく場合がある、と。その話が、ずっと心に残っています。種は、採れれば同じ種なのか。その疑問が、いまの私の出発点です。


■ 採れることと、受け継ぐことは違う

種が採れる。翌年も芽が出る。似た野菜が育つ。それだけなら、種をつないでいるとは言えます。でも、その土地の気候と土と水と季節、そこで育てた人の選抜の中で、何十年も残されてきた種とは、意味が違います。

だから私は、採種できるかどうかだけでなく、どんな歴史を持った種なのかを見るようになりました。

■ 見落としやすいこと

一つは、品種登録です。固定種でも、登録されている品種には育成者権が関わります。表示だけを見て、自由に自家採種できると決めてしまうのは危険です。

もう一つは、種子消毒です。種袋の小さな文字に「種子消毒済み」とあることがあります。固定種でも、消毒された種はあります。

■ 袋の文字より、種の来歴

袋の文字だけでは、何も分かりません。だから、できる範囲で、次のところを見ます。

・F1ではないか、F1をもとにしていないか 
・交配や選抜の履歴が分かるか 
・どこで、どんなふうに採種された種か(無農薬か)
 ・品種登録の対象ではないか
 ・種子消毒の有無

もちろん、全部が分かる種ばかりではありません。だから、買った種をゴールにしない。

買った種を蒔く。育った中から、良いものを選ぶ。種を採る。翌年、その種を蒔く。これを何年も繰り返すと、その土地に合った種が、自分の畑に残っていきます。種は、買って終わりではなく、そこから始まる。これが、自家採種のいちばん面白いところだと思っています。

種には、袋に書かれていない変遷があります。買うだけでなく、残す。つなぐ。そのことを、もう一度考えてみたいと思います。

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