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RCEP(域内包括的経済連携)の動向にも注意を!
TPPが自由貿易協定の名の下で、多国籍企業の権益を広げ、本来、主人公であるべき人びとからその権利を奪うものであることは認識されつつあるが、TPPに隠れてTPPよりも多くのアジアの国々に影響を与える貿易交渉が進みつつある。
それがRCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership、域内包括的経済連携)であり、関わる国はASEAN10ヶ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6ヶ国を含めた計16ヶ国におよぶ。TPPではアジア太平洋地域ではブルネイ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、日本の7カ国なので、その範囲はずっと大きくなる。
RCEPの条文案が4月に暴露されたが、この交渉ではTPPと同様のことが推し進められようとしていることがわかる。
たとえば、農民が持っている種子や伝統的な知識に対する種子企業の知的所有権の優越をRCEPでは日本、韓国、オーストラリアなどが主張しており、TPP以上に多くのアジア地域の諸国に押しつけられる危険が高い。
つまり、農民が種子を保存したり、共有することを禁じ、それを犯罪として、財産の没収や投獄の対象とする。種子は毎回、種子企業から買わなければならないものとなってしまう。
種子企業の特許の優越を定めたUPOV1991年条約や、微生物に関する特許を定めたブダペスト条約の批准が要求されており、微生物を生かしたさまざまな発酵文化も多国籍企業支配の元に置かれてしまうことになるのかもしれない。
TPPと異なるのはこのRCEPにはインドや中国が入っていることだ。インドや中国は生物多様性資源大国であり、国外の多国籍企業による生物資源の盗賊行為に対して警戒心を持っており、参加国に生物多様性条約の批准を求めているが、ASEAN諸国は反対している。
伝統的な種子や微生物を増やし、多様化させていく人びとの権利を尊重することを主張している政府は残念ながら存在せず、TPPやRCEPは成立してしまえば、そうした権利、農民の種子が奪われていく可能性は高い。
そうなればさらにバイオテク農業、あるいは化石燃料投入型農業が推進され、気候変動、小農民の貧困化はさらに悪化するだろう。
RCEPに注意
New leaked chapter of Asia trade deal shows RCEP will undercut farmers’ control over seeds
https://www.grain.org/bulletin_board/entries/5477-new-leaked-chapter-of-asia-trade-deal-shows-rcep-will-undercut-farmers-control-over-seeds