2025年6月2日月曜日

農業振興を 輸出拡大の一本足打法で進める農水省

 

 

 

 

 

 

 

 

 

農業振興を
輸出拡大の一本足打法で進める農水省

種苗法再改正、農産物輸出戦略改正を地ならしするパブリックコメント

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

印鑰 智哉さんから

 

種苗法再改正、農産物輸出戦略改正を地ならしするパブリックコメントが本日スタートする。

コメント募集期間はわずか2週間、6月16日締め切り。

優良品種の管理・活用のあり方等に関する検討会 中間報告案に関するパブリックコメント。

優良品種の管理・活用のあり方とは簡単に言えば、タネの独占権の守り方・生かし方と読めばいいだろう。

つまり、改正種苗法の課題、さらにはさらなる種苗法改正をめぐることが主題となっている中間報告だ。

なぜたった2週間しかコメントを募集しないかというと、昨年の食料・農業・農村基本計画改訂に伴う検討会の中間報告だから、行政手続法上の対象にならないので、1月も必要ないという判断なのだろう。

でも、日本の食のあり方に大きく影響があるテーマだけに、このようなパブコメは欧米なみに2ヶ月くらい期間を設けて、必要に応じてさらに延長して、この問題に関係する人が広くコメントできるように本来すべき話のはずだ。

この問題に関係する人は誰だろうか? 

誰もが食べなければ生きていけないのだから、すべての人のはずだ。

となれば、この2週間の募集期間は短すぎる。


中身を見てみよう。

ほとんどのスペースが、育成者権、つまりタネを独占する権利をどう守るか、その権利を守らせるかの検討にあてられている。

本来、農水省の一番大事なのは日本国内の農業を守り、日本での地域の食をどう確保し、その生産にあたる農民を守ることだろう。

でも、この資料を見ていくと、それは微塵も感じられない。

要するに優良な品種の知的財産権が守れれば、そのブランド化が推進され、それは農業者の所得向上につながるというのだが、これ、どこかで聞いた話じゃないか。

富裕者や大企業が利益を得れば、低所得者の賃金も増えるというあのトリクルダウンの農業バージョンに過ぎない。

しかし、その実現のためには、農家のタネは制限することになる。

農業のあり方は育成者権を握るものによって大きく左右されることになる。

それは望ましい方向だろうか?

しかも、これまた大問題なのが、ここには食料の自給率を向上させる、地域の食をどう守るか、という視点がないこと。

そもそも、この政策が農産物輸出拡大という偏った方針の下で推進されているということだ。

ずっと農水省は農業振興を輸出拡大の一本足打法で進めてきた。

食料自給率を上げてしまったら、米国から農産物の輸入ができなくなってしまうから、これは米国政府の下にある日本政府としてはNGなのだ。

でも、いくら農産物輸出を進めても、国内の食の不安定は増すばかり。

それはもう限界に来ている。

いい加減、この政策を転換しなければならない時が来ているのに、その政策をさらに強化するというのだ。

種苗の独占権である育成者権期間を倍に延ばして、種苗の管理を強化して、違反者には刑事罰を新設するという。

そんな方針を出しておいて、来年には種苗法も再改正、さらに農産物輸出を強化するように農産物輸出戦略を改定しようという。

このままでは日本は国内で食料が不足しているのに、輸出を優先する飢餓輸出国になる。

その前に国内で十分食べられていない人のための地域農業の強化、農業をあきらめざるをえない人、農業に参入したいのにできない人たちのことに取り組むのが農水省の役割ではないか。

農水省がまるっきりおかしな異常なイデオロギーに取り憑かれてしまったと言わざるをえない。

農水省が本来の仕事に戻るためにも、この異常な方針に対して、しっかりとコメントを送ることを呼びかけたい。

パブリックコメント:「優良品種の管理・活用のあり方等に関する検討会 中間報告案」についての意見募集・情報の募集について

 

優良品種の管理・活用のあり方等に関する検討会

 

掲載した図は農水省のパブコメ資料から

 

 

 

 

 

 

 

 

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