「売れ筋商品」はお互いで作り出すもの
ある九州の野菜出荷業者(A)と大阪の仲卸(B)は海外視察旅行がご縁で、取引を始めた。
商品は有機栽培の馬鈴薯(C)。
Bのお得意先にはコープがあったのでCを育てることになった。
最初はなかなか計画どおりの価格で売れない。
Bの売れ筋商品にしたいという根気強い辛抱があった。
そうした矢先、Aは同市場もう一人の知り合いの仲卸(D)に同じ商品を出荷してしまった。Aはその市場に足を運んだことがなかったので状況を掌握できなかった。
しかし中央卸売市場といっても、売り場はそんなに広いものではない。
しかも、仲卸は日ごろ自分の箱庭の如く売り場をチェックしている。Bはそのことをすぐに発見して、激昂してしまった。
何の努力もせず右から左に飛ぶように売れていく商品なら、出荷業者はどこに販売してもいいだろう。
しかし、有機野菜というマイナーな商材を辛抱強く育てているときに、そんなことをしたらBが怒り心頭になるのは当たり前のことだ。こうしてAは同市場から撤退せざるを得なくなった。
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