日本の花き流通はここが問題
なぜ日本の花き市場では「せり下げ」方式なのか?
一般的に花き類は買い付けしたものではなく、その多くが生産者の委託物品であり商品の上限価格を市場で設定していいものか疑問のあるところです。
そもそも日本の花きの取引は先進国オランダの生花市場の模倣で始まっています。
しかし、単純に模倣するには決定的なところを間違っています。
アールスメールの同市場は、もともと需要と供給に応じた生花と鉢もの類を一箇所に集めるという目的で始められた
「生産者が経営母体」の市場です。
つまりオランダは生産者が市場を運営しているのであって、予め生産者が上限価格を決めてせり下げていく方式ですから何ら問題はありません。生産者の所有物だからです。
ところが日本の花き市場は生産者の委託物品を問屋が預かって販売しています。買い付けしたものでもありません。
なぜ、自分の品物でもないものの上限価格を決めることができるのでしょうか?花き生産者はもっと理論武装しなければなりません。
青果物の取引は一貫して「せり上げ」方式です。
青果物は食料品であり、花きは嗜好品というところも大きく違いますが、すべての取引は力関係で決まっていきます。
つまり旺盛な需要があり供給が不足する場合には、市場は必死に生産者のところに足を運び集荷に努力しました。
一方、供給が過剰となり需要が減少していけば、生産者は必死に市場に販売の協力をお願いします。
こうした力関係のなかで価格も形成されてきます。
ただし九州・福岡の花き流通は独特の流通をしています。福岡県花き農協の力が圧倒的に強い市場を運営しています。
日本の花き市場は零細な問屋の集合体であって、野放し流通からやっと平成になり市場整備計画に組み込まれ中央卸売市場へと整備されてきました。
さらに日本ではやっと量販店が花き販売にも取り組んできたために量の確保が必要で農協共販が求められています。それでも青果物に比べるとまだまだ取引は未成熟で消費の規模も比較になりません。
流通改善を目指す若き農協職員のアドバイスを無視して、古参のセリ人が農協に圧力をかけていくような体質が続くなら、間違いなく花き市場は生産者からも買参者からも見捨てられていき、市場外流通拡大に拍車がかかっていくでしょう。
オークネットがなぜ勢力を拡大しているのかを肝に銘じないといけません。
生産者や実需者の意識が高まると、間違いなく市場抜きの市場外流通が拡大していくのは時間の問題となるでしょう。ここで販売対策と同様に産地対策に本腰を入れないといけません。花き市場の冨の源泉は生産者の委託品を販売する手数料にあるのですから・・・。