世界は環境問題が大きなテーマ
あの有名な古典的名著、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」(1962年)はDDTを始とする農薬などの科学物質のせいで、鳥たちが鳴かなくなったという出来事をとおして農薬の恐ろしさを訴えた作品で、世界中に大きな衝撃を与えました。さらに96年の「奪われし未来」は化学物質による環境ホルモン、地球汚染の恐ろしさを予言しました。こうした警告の書物が世に出て半世紀がたちます。
またビル・クリントン政権時代の副大統領、アル・ゴアはレイチェル・カーソンを尊敬していたといわれます。06年、デイビス・グッゲンハイム監督の地球温暖化に関するドキュメンタリー映画「不都合な真実」に出演。07年、講演や「不都合な真実」などの環境啓蒙活動が評価され、ノーベル賞を受賞したことはご承知のとおりです。
さらにフランスで学校給食と高齢者の宅配給食にオーガニック野菜を・・・と立ち上がったバルジャック村の記録映画
「未来の食卓」(09年日本でも上映)が上映され衝撃を与えました。
オーガニックブームの火付け役となった映画「未来の食卓」の監督ジャン=ポール・ジョーがその続編として,
セヴァン・スズキ(日系2世のカナダ人)を中心に、日本とフランスで傷ついた地球と向き合い続ける人々の姿を追ったドキュメンタリー映画
「セヴァンの地球のなおし方」は話題をよびました。
セヴァン・スズキは,わずか12歳の時にリオデジャネイロで開催された地球サミットであの伝説のスピーチを行いました。日本のお粗末な政治家たちよりはるかに上手なスピーチでした。
~どうやってなおすかわからないものを,壊し続けるのはもうやめてください~
大人たちに環境破壊を止めるよう訴えたこのスピーチは,20年の歳月を経た今もなお伝説として語り継がれています。もうすぐ母親となるセヴァンが今,世界に伝えたいことがこの映画の中に込められています。
その映画の舞台として,福岡県で合鴨農法をする
古野隆雄さんと福井県の山間の長閑で小さなまち・池田町が選ばれました。ジョー監督はフランスのバルジャック村からセヴァン・スズキと日本の有機農業を結び付けるというニクイ試みを展開してくれました。
一方わが国は昭和48年、朝日新聞に連載された有吉佐和子の
「複合汚染」が話題となり有機農業が注目されてきました。
また昨年、TV放送で注目された限界集落活性化で注目をあびるスーパー公務員 の羽咋市役所・産業観光課の
高野誠鮮さんの存在があります。羽咋市とJAはくいが連携して「奇跡のりんご」の木村秋則さんが推奨する自然栽培に取り組みました。農協が自然栽培に本格的に取り組むことは全国でも初めてのことで画期的なことです。おそらく今年は追従する農協が出てくることでしょう。
中山間地に位置する神子原(みこのはら)地区は離村と高齢化、耕作放棄地の増大、平均年齢75歳という消えて行くと見なされている「限界集落」です。この状態をなんとかしようと立ち上がったのが高野誠鮮さんです。
農業機械も入れない棚田が続き、携帯電話も通じない神子原を再生するには、国や役所を当てにするなと解いてまわり、自分たちで活性化に取り組めと何度も住民たちと会議を開いたのです。そこで何か活性化へのきっかけになるものはないかと見つけたのが、きれいな水でつくる神子原米でした。
早速、ブランド化するための方法論として天皇献上米として宮内庁に打診、しかしそんなに世間は甘くない、案の定却下されました。
そこで次に考えたのが、神子原という地名からホーリーネームにこじつけて、ローマ法王に献上しようとバチカン大使館へ売り込みに行き、神子原米を献上米としました。
こうしてローマ法王に神子原米を献上したことが大きくマスコミに取り上げられ、ブランド米として通常の3倍もの値段で流通していきました。
いまこの神子原は明るい集落として生まれ変わろうとしているのです。
そして、空家を利用した移住計画。これは農地とセットで都市住民に貸し出す「空き農家・農地情報バンク制度」で、神子原の自然や農業の魅力により若返りを狙った制度です。別荘としては貸し出さないという徹底したスタンスですが、すでに何人もの若い移住者が引っ越してきて住民の平均年齢もずいぶんと若返っています。
いまや全国の限界集落と呼ばれる町から何千人という視察者が訪れるようになりました。そして昨日、嬉しいニュース
が・・・。
フランスのパリの三ツ星レストランがこのコメを高く評価してくれて扱ってくれる見込みだといいます。今年はさらに大きく動き出しますよ!