2011年8月3日水曜日

宮崎マンゴーがピンチ!


いくら完熟とはいえ宮崎のマンゴーは危ないとブログにことあるごとに書いてきた。東国原知事が登場する前からだ。

このマンゴーは加温しなければならないためだ。つまり適地ではない。ここに宮崎特産にするためのモロさがある。

宮崎には「日向夏」という伝統的な特産果実があるのだ。よその県では栽培できないまさに特産果実である。初夏を告げるフルーツだ。この日向夏に取り組まないで適地でもないマンゴーにどうして取り組むのか不思議でならない。

それで宮崎マンゴーの現状を朝日新聞の記事で紹介しておこう。

「 宮崎県の特産マンゴーが採算割れの危機に直面している。東国原英夫前知事のPR効果で価格が急騰し、農家の新規参入も進んで生産量が増えた。だが、物珍 しさが薄らぐと市場でだぶつくようになり、価格の下落に歯止めがかからなくなっている。JA宮崎経済連は今季、「脱・東国原」を掲げて販売促進を強化して いるが、苦戦している。」と報じている。

続いて
 ●農家は増えて

宮崎マンゴーは、東国原氏が初当選した2007年、同氏によるトップセールスの効果で一気に価格が急騰。同年の全国平均価格は1キロあたり4922円で、最高値を更新した。


当時、JA部会に属するマンゴー生産農家は約180戸だったが、価格上昇に呼応するように1年あたり10から50戸のペースで増え、東国原氏が退任した今年は約280戸に達した。

地元JAを通じた出荷量も、09年に一時的に落ち込んだものの1年あたり100トン前後のペースで増加。今年は07年(561トン)に比べ55%増の870トンの出荷が見込まれている。

が、出荷量が増えるに従って価格は年々下落。昨年は年間の全国平均価格が1キロあたり3198円となり、採算ラインとされる3200円を割り込んだ。今年6月中旬の全国平均価格は2983円だ。
 
宮崎マンゴーの多くは栽培ハウスの設定温度が24度。県内の他のハウス栽培作物より高いため、燃料費も10アールあたり年間100万から120万円と高い。こうした事情から3200円が採算ラインとされる。

 ●されど「高い」

だが、消費者には高く感じられ、JA宮崎経済連東京営業所は『出荷増に見合うだけの購買欲がない』。一方、生産者は消費者が『買ってもいい』と感じるまで価格を下げて採算を取るのは難しい。

今季、都内の高級果物店では、宮崎マンゴーの最高級品『太陽のタマゴ』が桐(きり)箱入りで1玉8500円。売れ行きは1万500円だった昨年の方が良かったという。

危機感を強めたJA宮崎経済連は今季、『脱・東国原』を掲げ、店舗での試食販売を増やして販売促進に取り組む。

最 大の出荷先の首都圏では昨年から倍増の20回以上を計画。千葉県のスーパーでの試食会では1玉千円の「特価」で40玉を並べた。だが、試食した同県流山市 の主婦、寺田美津江さん(65)は結局、1玉680円のメロンを買った。『こっちの方がボリュームがあって家計に優しい。マンゴーはおいしいけど、高くて 手が出ない』

同経済連の園芸販売課は「量販店を中心に客層を広げないと、忘れられてしまう」と話す。東国原氏のトップセールス効果を尋ねると『人気が過熱しすぎて……』と言葉を濁した。(北村有樹子)

 ◆加工品開発にも力を

共栄大国際経営学部の中村哲也准教授(農業経済学)の話『果物を生で食べる場合の消費量には限界がある。ブランド力を維持するには、高級マンゴープリンなどの加工品開発にも力を入れ、消費のすそ野を広げていく必要がある。』」

ところで東京都中央卸売市場の平成22年の果実の1キロ当たりの平均価格は326円である。これは卸売価格だから小売価格はいくぶん高めになる。

果実の卸売価格は300円から350円と思ってもらえばいいだろう。もの珍しさがあったときには売れただろう。知事の人気でフィーバーしたことも事実だ。ブームは必ず去るものだ。

残された生産者は設備投資分も回収できない。農協県連の営農指導は見直したほうが賢明だ。

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