日向夏、これは宮崎を代表する特産果実だ。初夏を感じる薫風のなかで、日向夏を食すると口のなかの爽やかさが格別だ。
(写真:フリー百科事典から)
ミカン科ミカン属で雑柑類に分類される常緑低木の柑橘類だ。
日向夏は文政年間に宮崎市赤江の真方安太郎宅で偶発実生から発見された。
宮崎原産だが、明治中期以降は全国的に知られ、高知で土佐小夏、静岡、福岡、愛媛ではニューサマーオレンジの名で生産されるようになった。
明治時代末期に宮崎県の産業として栽培が盛んとなるが、「日向夏」とブランド名がついたのは、昭和47年になってのことだ。
日南市、清武、高岡、綾町を中心に毎年2,600トン前後生産され、少核系、早生(わせ)系、高糖系の優秀な系統選抜が進んで苗木の増殖も始まった。
果実はやや下ぶくれの球形で約200グラム。外皮は黄色。果肉との間に厚めの白い内皮があり、果肉は淡黄色で果汁はたっぷり、酸味も適度で香気があり、 風味に優れている。
本来は晩春から初夏の果物だったが、栽培技術の発達でハウスものは正月から出荷され、露地もののはしりも2月中旬の早さとなった。4月中旬ごろまで。4月末になると花芽をつけてくる。
タネが多くあるのが難点とされていたが、平成4年から温室での「種なし栽培」に取り組まれ、「種なし日向夏」ができるようになった。
県でもみやざきブランド推進事業として取り組み、加工果汁用としても奨励されている。このところ栽培面積、収量ともに漸増傾向にある。
平成19年産は栽培面積182ha、収穫量2149トンで同様にみていくと20年産は190ha、2293トン、21年産は187ha、2719トン、22年産は197ha、3153トンと漸増傾向で推移している。同様に農協の共販も漸増傾向で推移しているようだ。
宮崎市清武で「日向夏」栽培に取り組む私の友人・谷村正さんも日向夏に惚れこみ力を入れているひとりだ。50アールの園地で35アールほどで栽培に取り組み、約9トンの生産量がある。谷村さんは「10アールで3トンの収穫量を目標にしていますが、なかなか計画どおりにいきませんよ」と栽培の難しさを語る。
ところで谷村さんはかつて全農、宮崎県経済連で仕事をした経験があり、販売に関しては全国展開を睨んだ戦略が組める恵まれた立場にある。「日向夏は宮崎を代表する特産果実ですから、消費宣伝をもっと工夫する必要があります。東京の友人にも手紙を添えて自分の作品として送っていますよ」と草の根活動も忘れない。
★日向夏の 食べ方はリンゴの皮をむく要領で黄色い外皮を薄くむき、白い内皮を残す。
種のある中心部をさけるように7つか8つ、縦にそぎ切りする。とびきりの日向夏は 砂糖もはちみつもいらない。
他の柑橘類とは違い、果実の表皮における白い部分(内果皮、アルベド)もそのまま食べられるので、 皮の黄色い表面(外果皮)だけを薄く剥いで食べるほうがよい。 この白い部分はふかふかとした食感であり、苦みや渋みはない。これは剥かないでください。
「日向夏」の食べ方
★ そのまま食べたり(黄色い外果皮は剥く)、果汁を絞ってジュースにする。
★外果皮を剥いた後に、ふかふかの白い皮を多く残すようにスライスし、砂糖をかけて食べる。
★刺身にし、醤油をつけて食べる。
★太巻きの中の具や餃子の具にする。宮崎県発祥と言われるレタス巻きの具にも使用される。
★ 皮を利用してマーマレードにする。
★一般的な柑橘類と同じく果実酒にする。
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