2011年4月20日水曜日

農協共販はどこへ行く



 日本農業再生










主力産地を中心に北海道のホクレンから沖縄の沖縄県経済連まで、園芸部長に「将来、本格的に産直に取り組みますか?」というテーマで取材して回ったことがあります。産地間競争が盛んだったころです。

なぜそうしたテーマに取り組んだのかというと、そのころ共販体制に組み込まれない生産者が、組織を離れアウトサイダー的動きで産直に取り組むという動きがあり、農協系統ではそうした生産者の農協離れをどうして防いでいくのかということを聞きたかったからです。

ところが異口同音に返ってきた言葉は、「卸売市場制度は魅力的」「経済連を窓口にした産直には取り組めない」ということでした。

そ れは無論、「指定産地制度」などが「卸売市場制度」とリンクしていてアウトサイダー的行動はとれなかったこともあります。つまり制度が見事に機能していたからです。産地は市場に無 条件委託販売をするが、それは市場という信用力を担保にしていました。こうして青果物の流通では大型産地、大型市場、大型量販店という流れが整ってきました。

大型流通を可能にしたのは 量販店が成熟期を迎えていたからです。

む ろんホクレンのように市場出荷分と加工食品のように分けて整理して使い分けているところもありました。市場流通は力関係で決まります。長野県経済連の ように共販額が1000億円ほどもあるところは、夏場の最盛期には日量5億円ほどを出荷しました。代金回収が卸売制度のもとで自動的に回収できるのですか ら、すばらしいシステムでした。

と ころが、バブル経済崩壊、失われた10年を経ていまでは25年前に私が想定したことがドンピシャリあたり、農協共販に乗れなかった生産者が動き出しています。 ある人は生産者直売所を始め、ある人は農産物加工・直販を始めてだしています。

さらに大きな変化は有機農法、自然農法が評価されてきたことです。

「奇跡のりんご」の存在も大きい。これは市 場や農協ではなくメディアが高く評価してくれました。青森りんごが販売不振で苦労しているとき木村秋則さんのりんごはネットでも販売されて足りないほどです。 木村さんの農業ルネッサンスに挑戦するというコンセプトは素晴らしい。それを可能にしたのがソーシアルメディアの力です。

これまでの結びつきは生産者=農協=市場=量販店という縦の関係でしたが、同じ志をもつ地域を越えた生産者同士のつながりのように横の関係がソーシアルメディアの力で出来てきたことでしょう。たとえば福島の生産者と高知の生産者の交流が簡単にできるようになりました。ツイッターを克明に読んでいくと多くの生産者がツイートしています。ツイッター参加者の数は生産者>量販店>市場>農協という状態です。フェイスブックの参加者の数も同様です。しかもそこに音声、動画が加わります。

こうして考えるならリアル取引の生産者→農協→市場→量販店という大きなプラットホームが機能しなくなってきたことが分かります。市場流通が次第に衰退していることの裏づけです。今後こうした傾向にはますます拍車がかかるでしょう。

卸売市場がこの危機を打破するためには覚悟を決めて必死に産地対策を見直していかないと、ソーシアルメディアを駆使して意識の高まった生産者の流れを食い止めていくことはできないでしょう。いま取り組まないといけないことは販売対策の前に産地対策です。産地とともにという覚悟が必要です。

卸売市場制度が機能したのは、旺盛な需要があり供給不足の時代であったからです。しかし、いまやパラダイムシフトが起こり卸売市場制度が万能ではなくなっているのです。それは長引く大型量販店の販売不振をみていれば納得でしるでしょう。


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