「テーブルオレンジ」はどこへ行く?
門司税関作成資料
日本のみかんが北米のカナダに輸出されたのは1891年とされている。すでに120年からの歴史があることをご存知だろうか?
みかんは現地のオレンジに比べて皮がむきやすいこともあり、「テーブルオレンジ」と呼ばれ、普及した。クリスマスには、プレゼントを入れる靴下にみかんを入れる風習もあったという。だからバンクーバー近郊で、日本からの移民が栽培を始めたひともいたようです。
さてわが国では昭和30年代、コメの生産調整(減反)の一環として、政府はコメから果物への転作を促した。36年に施行された農業基本法に基づき「果樹農業振興法」で、各自治体がコメ農家にみかんへの転作を指導し、気候が適した西日本にみかん畑が一気に広がった。
この結果、40年代からみかん収穫量が急増した。50年当時の年間収穫量は360万トンで、現在の収穫量(平成25年89万トン)の4倍にもあたる。需給バランスが崩れ、価格下落に歯止めがかからなくなった。
皮肉にも 「豊作貧乏」という言葉が使われるようになり、みかん農家は生産調整に応じなければならなかった。
窮地に陥った農家にとって、活路となったのがカナダへの輸出だった。こうしてみかん輸出が本格化していった。
ところで2014年のみかん輸出実績は、数量3,288トン(前年比16.2%増)金額7億2,300万円(前年比35.0%増)だった。
このうち門司税関館内の輸出実績は数量2,004トン(前年比12.0%増)、金額は3億600万円(前年比27.7%増)となっている。
門司税関作成資料
リーマンショックや急激な円高等により、2008年から2010年にかけて全国及び門司税関ともに数量及び金額は下降傾向となったものの、2011年以降は円安の影響もあり、数量及び金額が増加傾向に転じている。
2014年の全国港別シェアでは、博多港が数量で60.6%、金額で41.7%を占め、全国第一位となっている。これは最大輸出国であるカナダ向けが九州産みかんのウエイトが高いためとみられる。
門司税関館内の国別の金額シェアをみると、2004年はカナダ向け輸出金額は2億8,000万円(シェア93.9%)、香港、台湾などアジア向け金額は1,800万円(シェア6.1%)であったが、2014年にはカナ向け2億5,900万円(シェア84.6%)、アジア向けは4,700万円(シェア15.4%)と大きく伸びている。
なお全国では2004年はカナダ向けが4億1,900万円(シェア82.2%)、アジア向けは3,800万円(シェア7.5%)だったが、2014年はカナダ向けが3億8,500万円(シェア53.3%)とシェアを落とし、アジア向けが3億1,600万円(シェア43.6%)と増加傾向にある。
このように日本ブランドのみかんは甘くて美味しいとアジアでは評判が高く、高額でも売れており、今後も拡大傾向にあるだろう。
政府は農林水産物の輸出金額を拡大することを政策目標(かんきつ類は2020年までに輸出金額8億円を目標)としているため、みかんの輸出は堅調に推移するものと期待されている。
ところで私のフェイスブック友人で、43年前からバンクーバーに住んでいる前・料理人のSaburo Shibanumaさんに日本食事情を聞いた。
40数年前、日本から船で輸入されるみかんはバンクーバーに住む日本人にとって故郷からの美味しいフルーツのみかんを待ちわびる楽しい年末年始のひとときでした。当時、バンクーバー市内にあった日本人街のパウエル通りにはまだ多くの日本人が住んでいました。▲ 柴沼三郎さん
だから日本食を売る店も3店舗ほどありました。しかし年月とともに一店引越しまた一店引越しして現在では日本人が経営するお店はこのパウエル通りにはありません。
当時3店舗のお店に行けば日本からの小さな長方型の箱に入ったみかんが売られていました。外箱のデザインも何回か変わった記憶があります。富士山の絵だったり、日本人の着物姿の写真だったりと・・・。
しかし最近では中国産、韓国産.アメリカ産であったり箱の感じも日本産に似ているものの本物てはなかったりして日本産のみかんの姿が店頭から消えつつあるのが現状です。
安い価格のものに押されているのでしょう。同様に日本米も高価格で日本人が買い込むだけ。同じ値段でしたら、その2倍から3倍の量のアメリカのテキサス州産やカルフォルニア州産が手に入ります。日本の苗で育てたカルフォルニア米が低価格で手に入ります。カナダに入って来る米は殆どがアメリカで栽培された米です。
レストラン等で使用する寿司米等もカルフォルニア米です。日本から輸入された米では日本レストラン(ほとんどが中国人と韓国系)では仕入れ値段が高過ぎて使いきれません。
昔は大きなストア等で取り扱っていたみかんは日本産でしたが、いまや梨なども韓国産のものに変わりました。
バンクーバは真冬でも南に下れば温かくなりますので葉物野菜はいくらでも手に入りますが、カナダのど真ん中にあるマニトバ州のウイニペグ等では真冬の気温が時にはマイナス40度の寒波が来る場所では葉物野菜が凍ってしまうので小売店の店頭にはないという状態になります。 海の新鮮な魚類などは手に入らない状態です。今日では空輸で入りますがかなり高い寿司.刺身になってしまいます。
このようにバンクーバーの日本食事情も、いまや大きな変化のときを迎えています。故郷はますます遠くなりにけりの状態です。
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