江戸の伝統野菜をいかに守るか
江戸野菜でも最高級の「千住ねぎ」は築地にも大田市場にも出荷はされません。千住にねぎの超専門市場があるのです。
葛飾区北部にあたる金町、水元、新宿地区一帯は、昭和の中期までいわゆる千住ネギの産地として全国的にも有名でした。
精農家たちは、もともと千住付近(現在の荒川区と足立区にまたがる地域)にあった古い「熊手ネギ」や「砂村ネギ」などから選抜改良 して、良質な「根深一本葱」を競って作りだし、これらを総称して「千住ネギ」といわれてきました。中でも地元が生んだ「金長ネギ」は、その品質の良さから 全国的に広く作られていきました。
千住ネギ栽培の起源は不明ですが、本格的生産は明治中期以降とされ、日清、日露の戦勝景気で需要も急増し、庶民の食生活を豊かにし てきました。土質が適していた千住ネギは軟白部分が長くて締まりも良く、煮くずれしないため、とくにすき焼きなどの鍋物に好んで使われました。
さて東京都内は都市化の波で栽培できなくなり、現在では埼玉県越谷の産地が残っています。残念ながら数年前に自家採取のタネはなくなってしまいましたが栽培は続いているのです。
栽培期間は11から12ヶ月も掛かかります。それだけに一般のねぎとは巻きが違います。いまでも蕎麦屋や鍋料理店などには根強いファンがあります。
どこでも栽培できて、病気に強く、収量があがるF1種とは違い、これぞまさに価値ある特産物です。江戸時代からの伝統野菜であるがゆえに農協も介入できません。
こうした伝統野菜をいかに存続させるかが残された課題だと言えましょう。
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