九頭竜川下流域農業用水再編推進協議会
清水 真紀
福井県北西部の海岸沿いにある三国町三里浜砂丘地区。
ここに福井県特産物の極上の花らっきょうがあります。
明治初期、砂の飛散を防ぐため三里浜で自給の作物として栽培したのが始まりとされる。
越前3年堀花らっきょうの栽培は8月中旬から9月中旬に植え付けを行い、翌年の6月~7月に収穫するのが通常ですが、3年掘では収穫をさらに1年遅らせ、2度冬を越させます。
らっきょうは、1年で6~7球に分球し、その度に皮が薄く繊維が細かくなり身も締まります。3年掘の花らっきょは分球サイクルが多い分、小粒で歯切れが良く、風味もまろやかになります。
こうして秋には薄紫色の花を咲かせると、根と茎の両端を切り落とすことを方言で「はなを切る」と言う事から「花らっきょ」の語源になったと言われます。
6月~7月に行われる収穫は、大変厳しい作業になります。砂丘地のため畑にはさえぎるものがなく、気温が30度を越える炎天下、上からは太陽光、下からは砂が焼け照り返しがある中で作業を行います。
また、収穫が7月後半に終わると8月の後半から9月にかけて今度は植付け作業になります。もちろん自家採取の球根ですから、伝統が立派に受け継がれています。
シャキッ、シャキッとした花らっきょが食べられるのは、農家の美味しい花らっきょを食べてもらいたいという愛情と苦労の賜物です。地元のおばあちゃん達が1粒1つぶ手作業でおこなうので、小さならっきょうにも手間・ヒマと愛情がたっぷり詰まっています。
ところでこの“3年子”と呼ばれる花らっきょうは、いま収穫期を迎えるところです。
現在、作付面積は100ha。ピーク時は昭和20年から30年代で400haもありました。戦後の食糧難から高度経済成長期にかけてでした。
しかし、どこの産地もそうですが生産者が高齢化した現在、この極上の花らっきょうもご他聞にもれず存続が危ぶまれています。
そこでこの問題を解決すべく、三里浜地区では今年から生産組織を立ち上げ作業の農作業の軽減をはかり、収穫機の導入も検討さています。
省力化で昔ながらの作業風景は見られなくなるかもしれませんが、極上のらっきょうを食卓へ届けるべく生産者は努力しています。
さらに、今までこの地区の農業用水は塩分が混じった地下水に頼っていたため、塩害を避けるために十分な水やりができませんでした。
今回、九頭竜川下流域農業用水再編推進協議会の実施している農業用水のパイプライン化事業が完成(27年度完成予定)すると、九頭竜川上流の美しい水をこの砂丘地にも届けることができるようになります。
潤沢な、そして綺麗な水で育てたらっきょうがどのように育っていくのか・・・?
極上でなく“至福の花らっきょう”になることを願って・・・。また、この実証圃場ではポストらっきょうで、新たな園芸作物の生育実験もおこなっています。
今までに二十日大根と人参の生育試験をおこない、昨年はパースニップ、先日はショウガを植えました。
みなさまこれから変貌を遂げる三里浜地区にもどうぞ期待ください。
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