2011年4月22日金曜日

メロン販売を考える

日本農業再生









農業が大好きだ







 茨城・水戸に住む友人がアンデスメロンを送ってくれた。いつもなら農協のメロンであるのだが、どうした訳か今年は岩崎農園 のものだった。

不思議に思っていたらメールが届いた。技術力のある篤農家の農協離れが起こっているのだという。納得である。

この生産者は海外からの研修生も受け入れていて、特定の顧客を掴んでいるのだという。

コメもアイガモ農法を取り入れ、すでに23年産コメの販売受付もしているそうだ。立派なものだ。

収穫カードとともに中に入っていた岩崎農園のチラシは「土にまみれた子供のころのなつかしい味がする」ふれあう百姓。おやじのつぶやき。


写真の合間 に詩が書いてあった。味は格段に美味しいものであった。


農協のものは確かに無難ではあったが、個性的という感じがなかったのだ。このように篤農家ほどいま農協を離れ て自前で販売を展開している。




『農業が大好きだ』





百姓になって三十余年
毎年毎日、

天気と土と作物との話し合い

なかなか思いが通じない

試行錯誤の連続で

いまだおれの作物未完成

みんな生きているんだもの

いつか必ず作ってみせる

今日も顔じゅう粒の汗

こんな俺の作品だけど待ってくれる人がいる






こうした手紙を添えることで、農協ではできない温もりのある訴えをしているのだ。


大型共販の大量流通はすでに飽きられている。どこのスーパーも同じ商品を販売していたのでは個性がなさすぎる。売上不振にそのことがはっきりと出ているではないか。


私はこの百姓と自分のことを自信をもっていう人がとてつもなく好きだ。ジャズ・サクソフォン奏者の坂田明さんがどこかで言っていた。百姓と自己紹介できる人が羨ましいと・・・。自分など「サクソフォン吹いています」と言ったって迫力がないと仰る。八百屋も「青果店」というようになってから、急激に店舗数が減少してきたようだ。



それに比べて「百姓してます」は迫力が違うのだそうだ。私は坂田明さんのサクフォンが奏でる「ひまわり」に魅了されているのだが・・・。

いまは閉店したが銀座8丁目・千疋屋に行くと、静岡・温室組合のアールスメロンが桐箱に2コ入っていて2万円とか3万円という時代もあった。バブルで成金 趣味の結婚式場、高級料亭での需要があったからだ。もう帝国ホテルでの結婚式でさえ、デザートにアールスメロンには拘らないだろう。雑メロンでも結構 美味しいメロンが出てきたためだ。


なにも夕張メロンにご祝儀相場とはいえ100万円も出す必要はないのだ。それよりも市場がしなければならないことは、通常の取引で買参者に買い叩かせない努力である。


★【この稿は2005年ソネブロに掲載したもの】







後日談:

この記事を千葉に住む岩崎農園の娘さんがたまたま読んでくれまして、「このメロンは私の実家のものです。

栽培している父はパソコンをしませんのでこの記事を見てないですが、消費者がこうした思いで食してくださるのがよく分かりました」との書き込みをくれました。(感謝)

ほんとは能力ある市場ならこうして離れていく生産者をいかに束ねていくかが決め手になるわけです。

ところがこうした努力を市場はしてこなかったから、生産 者が仲間をつくりネット販売を開始しているわけです。

市場に仕入にきてくれるお客だけの対応では市場に来ないお客さんのことは分からないのです。

もうこれ からはネット対応もできないような市場では産地にも買い手にも相手にされなくなるでしょう。














 

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